事業・活動
建物、庭園の保存管理
明治三年隆子が巽御殿で生涯を終え、所轄は国、県、前田家と推移し歴代の天皇、宮様をお迎えする役目も果たして参りました。 1938年に旧国宝、1950年に重要文化財に指定され、現在は公益財団法人成巽閣として運営されております。
成巽閣は1863年に建てられたもので、創建当時「巽御殿(たつみごてん)」といわれ、加賀藩主12代齊廣(なりなが)夫人眞龍院(しんりゅういん)のご隠栖の建物であります。江戸時代末期における大名の書院建築と、当時成熟された数寄屋風書院建築の二つの形姿をもっています。
これは、江戸時代の建築文化が300年経過して表現されたひとつの時代確証であり、また現存する唯一の遺産でもあります。この建造物で江戸時代における大名の建築が全て終焉しているところにも大きな意義があり、このような建築文化を数多くの方々にご鑑賞えられれば幸いです。
美術工芸品、資料などの保存管理
成巽閣は1950年に重要文化財に指定され、これまでの間、文化施設として開館されてきました。 また、成巽閣には工芸や衣裳など前田家所縁の品々が数多く遺されており、この貴重な文化遺産を一般に公開しております。
代々の奥方たちに大切に守られた品々を通じて、それに秘められた古い歴史と、当時の円熟した職人たちの技と洗練された意匠と合わせてご紹介しながらも、大切に保存していかなければなりません。
所蔵する文化遺産の保存に多くの方々によるご理解を頂きながら、年間を通じて様々なテーマに絞った企画展を催しています。 それぞれのテーマをもとに、工芸の粋とも呼ばれる程の質と豊かな表現力を有した所蔵品の数々、当時の奥方たちの生活や文化をよりご堪能いただけるよう工夫を凝らしています。