清香軒・清香書院・飛鶴庭

国の重要文化財として、普段は非公開となっている茶室「清香軒」と広間「清香書院」は成巽閣造営当初より建物に組み込まれたお部屋です。
漆喰打された広い土縁には自然石が配され、また、二重の土間庇も深く、内露地の一角には遣水が流れ、雪深い日にも茶事が出来るように考案されています。
ここから障子を開ければ、花鳥や彩色にあふれた国指定名勝「飛鶴庭」のゆるやかな遣水に配された石組み、そして六地蔵の手水鉢などの景が望めます。

清香書院

清香書院は謁見の間床の間の背後に位置し、京間、8畳、本勝手の広間です。正面中央に1畳の床の間を設け、赤松皮付の床框を鍵型に廻しています。
左側には半畳大の天袋および地袋がついて、いわゆる倹飩となっています。右側も半畳大の敷込板となり中央には香炉が釣ってあります。

書院水屋

清香書院奥の4畳敷のお部屋で、武者隠しの間へ続きます。水屋は1間の中に台目巾の水遣と収納棚が設けられ、華やかな模様の裂が貼られた天袋および地袋がついています。

清香軒

清香軒は鮎の廊下東北端に位置し、京間、三畳台目、向う切りの茶室です。
席入りには明り障子2枚の貴人口、板戸2枚の躙り口があり、台目畳には火燈形の茶道口がつき、襖2枚を隔てて清香書院に続いています。床はいわゆる原叟床(げんそうどこ)といわれる踏込床で、地板には樟杢(くすのきもく)の1枚板が使われています。床柱には方竹が用いられ、入隅には楊子柱、墨蹟窓が設けられています。また、台目畳の落ち天井は桑の杢板が張られ、白竹の細竿で抑えられています。

飛鶴庭

清香軒・清香書院から望むことができる飛鶴庭は典型的な平庭造りの手法からなるお庭で、1929年4月、国の名勝指定を受けています。
一面苔むす平庭に辰巳用水から分流された曲水が流れ、手水鉢、燈籠、捨石が配されるその間を飛び石や延段が敷かれ、五葉松・赤松・熊野槇などの喬木、八汐・ウメモドキ等の灌木が点植されています。