金沢・加賀前田家の奥方御殿

前田家は、戦国の世を織田信長に仕えた前田利家、その正室まつにより生き抜いてきました。
やがて、時代の動乱の中、あまたの名門・名家が歴史上から姿を消して行きました。
諸大名がその勢力を変じながらも家名を守り続けていった中、前田家の財力は異例なもので、三代の利常はこれを文化・工芸の育成に費やし、今日に残る加賀百万石の文化、美術工芸品は全てここに端を発するものとなりました。

前田家の御殿には御細工所と呼ばれる工房が造られ、幕末まで維持されました。
五代綱紀の治世において加賀は文化工芸の隆盛を見る事となり、時代が下って1822年、十二代齊廣は現在の兼六園の中央に竹沢御殿を造りました。
御細工所の全ての職人がここぞとばかりに腕を奮った事は言うまでもありません。
書院から眺める景色をもって楽翁、松平定信が「兼六園」としたのは実にこの時でした。

1863年、奥方のため兼六園に建てられた建物は巽御殿(たつみごてん)と呼ばれました。
十二代奥方、隆子(眞龍院:しんりゅういん)は折に触れ、縁側を下りてお庭である兼六園を楽しまれた事でしょう。
1870年、隆子が巽御殿で生涯を終え、所轄は国、県、前田家と推移し歴代の天皇、宮様をお迎えする役目も果たして参りました。
重要文化財に指定され、現在は公益財団法人成巽閣として運営されております。

開館時間9:00~17:00(入館は16:30まで)
水曜日休館(祝祭日の場合は開館し、翌日休館)

石川県金沢市兼六町1番2号


お電話 076-221-0580

  • 現在実施中展示
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  • 特別公開
  • 過去の展示・催し物
  • 王朝文化と前田家展

    特別展
    「王朝文化と前田家展」■令和6年10月3日(木)〜12月9日(月)

    源氏物語や平家物語など古典の意匠はさまざまな装飾に用いられて来ました。
    後水尾天皇を中心に古典の復興となった寛永文化の時代、前田家は利常、綱紀に渡り京都御所と深く関わることとなりました。
    前田家に伝わる後水尾天皇の御宸翰「忍」字や源氏物語五十四帖、平家物語の「忠度百首」、平治物語の「待賢門合戦図屏風」、源氏物語由来の小袖など王朝文化の展示です。

  • 冬の衣裳と調度展

    企画展
    「前田家伝来 冬の衣裳と調度展」■令和6年12月12日(木)〜令和7年2月2日(日)

    厳しい寒さに対して夜着は豪華に彩られ邪気を退ける魔除けのために吉祥の文様がちりばめられていました。秀逸な絞りと華麗な刺繍を駆使した夜着と若き姫君の愛らしい小袖を中心に冬の装いと調度の品を展示致します。

  • 「清香軒・清香書院・飛鶴庭」
    特別公開

    江戸時代の加賀百万石前田家を伝える成巽閣は国の重要文化財で花鳥や彩色にあふれた優美な奥方の御殿です。 普段は非公開の国指定名勝「飛鶴庭」、茶室「清香軒」、「清香書院」を期間中、特別公開致します。 季節に応じた企画展が開催されており、金沢の文化や類のない建築である成巽閣の魅力を存分に御堪能頂けます。

  • 過去の展示・催し物

    夏衣裳と調度展

    企画展
    「前田家伝来 夏衣裳と調度展」■令和6年7月4日(木)〜年9月29日(日)

    前田家の奥方衣裳が数多く成巽閣に伝えられています。将軍家、紀州、尾張徳川家鍋島家や公家の姫君が所持された単衣、麻を素材とした帷子・帯などが金糸銀糸を用い高度な刺繍で華麗に彩られています。江戸のこの時代、円熟した職人たちの技と洗練された意匠をどうぞ御覧下さい。

    御所人形展

    企画展
    「前田家伝来 御所人形展」■令和6年4月25日(木)〜年6月30日(日)

    日本は種類の多さ、品質の高さにおいて世界でも有数の人形王国です。中でも御所人形は日本人形の粋と呼ばれる程、質と豊かな表現力を有しています。
    お子たちの健やかなる成長の願いが込められた大小あまたの人形、それらは愛でられお守り、魔除けとして、時には身代りでもありました。前田家に伝わる200体以上の品々をどうぞ御覧下さい。

    雛人形雛道具特別展

    特別展
    「前田家伝来 雛人形雛道具特別展」■令和6年2月8日(木)〜年4月21日(日)

    次郎左衛門雛・有職雛・古今雛・梨地梅鉢紋雛道具・黒塗梅鉢紋雛道具・杏葉紋唐草蒔絵雛道具、牡丹唐草紋雛道具など、成巽閣には前田家ゆかりの品々が数多く遺されています。古い歴史を秘めた雛人形たちは代々の奥方たちに大切に守られてきました。

    冬の衣裳と調度展

    企画展
    「前田家伝来 冬の衣裳と調度展」■令和5年11月30日(木)〜令和6年2月4日(日)

    厳しい寒さに対して夜着は豪華に彩られ邪気を退ける魔除けのために吉祥の文様がちりばめられていました。秀逸な絞りと華麗な刺繍を駆使した夜着と若き姫君の愛らしい小袖を中心に冬の装いと調度の品を展示致します。

    侯爵前田家展

    企画展
    「侯爵前田家展」■令和5年9月28日(木)〜11月27日(月)

    明治2年の版籍奉還により、それまでの公卿・諸侯は新たに華族という名称に変更されました。さらに明治17年華族令の制定により公・候・伯・子・男の五等の爵位に分けられ前田家15代利嗣は侯爵に任ぜられました。15代利嗣・16代利為・17代利建と3代に亘る侯爵前田家の姿を肖像画・写真・大礼服等でご紹介致します。

    古典の意匠展

    企画展
    「前田家伝来 古典の意匠展」■令和4年9月29日(木)〜11月28日(月)

    源氏物語や源平の戦いを主題とする古典は古来より多くの人々に愛されてきました。
    その意匠は工芸や衣裳の装飾に用いられ姫君や奥方たちを彩る事となりました。前田家に伝わる源氏物語のひとつ久我家の五十四帖、「若紫」「明石」を題材とする御所解模様小袖や平家物語から「忠度百首」など古典の意匠を題材とした展示をどうぞ御覧下さい。

     

成巽閣の見どころ前田家奥方御殿その様式

文久3年(1863年)、前田家の奥方のために建てられたこの建物は当初、巽御殿と呼ばれ、前田家13代齊泰は12代奥方に対して、細やかな心配りに満ちた優しく雅な空間を造りあげています。
成巽閣は武家書院造と数寄屋風書院造を一つの棟の中に組み入れた巧みな様式をもつ建造物であり、江戸時代末期(1860年代後半)の武家造の遺構としては類例のないものと高い評価をいただいており、また、大名正室の御殿としては、日本国内に唯一現存する建造物となっております。

代表的な所蔵品

その昔、前田家には奥方、姫君達の夥しい雛人形雛道具が伝えられ金沢城の雛土蔵に収められており、母君(眞龍院)が受継がれた由緒ある品々が大切に守られています。また御子たちの健やかな成育を願った御所人形は幸運をもたらし、魔除けの意味も込められ大切にされました。
華麗な紋様、刺繍、意匠が施された表着・小袖・帷子・夜着・帯など奥方たちの衣裳も調度の品々と共にそれぞれの時代を伝えています。

入館料

企画展
一般・大学生700円
高中生300円
小学生250円
特別展
一般・大学生1,000円
高中生400円
小学生300円

開館時間9:00~17:00(入館は16:30まで)

水曜日休館(祝祭日の場合は開館し、翌日休館)
年末年始休館(12/29~1/2)

〒920-0936 金沢市兼六町1番2号