つくしの縁庭園

つくしの縁庭園は柱の無い縁から眺めることのできる開放的な庭園です。
この庭園は、国指定名勝の「飛鶴底」からつづき、中央に雄松(クロマツ)、左右に紅梅と五葉松を置き、満点星(ドウダンツツジ)紅葉、黐の木(モチノキ)、楓(キレニシキ、タムケ)、榊、サツキなどをその周囲に配し、その合間を縫うように辰巳用水から分流された遣水がゆるやかに流れています。
遣水の縁にも銀縁笹、とくさ、イカリ草、大文字草、黄蓮(オウレン)などの下草をあしらって全体の景観を構成しています。
昭和59年(1984年)4月、県指定名勝となっています。

つくしの縁
~柱の無い縁側~

この縁側は「つくしの縁」と云われ、障子腰板の入側に“土筆(つくし)”が描かれています。廊下はうぐいす張りの漆掛縁側で、縁側の長さは約20メートルあり、間には柱が一本も無く開放的に庭を眺めることができます。
これは桔木(はねぎ)という構造によって軒先を支えているからです。
桔木は長さ10メートル余りの松材を、畳廊下と板縁の境を支点として、外側(庭側)へ3メートル、内側(屋内側)へ7メートルの長さになるよう入れ、梃子(てこ)の原理で軒先を支えるというもので、成巽閣の構造の大きな特徴であります。

松の間

この部屋は、つくしの縁庭園を眺めることができる部屋のひとつで、ご休息の間として使われていました。
障子の腰板には松が描かれており、床の間と書院が巧みに組み合わされ、書院障子の腰板には花鳥焼付のギヤマンが嵌め込まれています。オランダ渡りのギヤマンにはヨーロッパの小鳥たちや植物が描かれており、庭園を訪れる鶯(うぐいす)、ひたき、四十雀(しじゅうから)、やまがらなど、日本の小鳥たちと共に奥方の心をさぞ楽しませたことが窺えます。
床の間の床柱および側柱は上下を残し中間の部分が切断され、書院は平書院形式になるなど新しい室内意匠となっています。天井は周囲を井桁に組み、中を棹縁板天井としています。

ギヤマン

オランダ渡りのギヤマンにはヨーロッパの小鳥たちや植物が描かれています。
庭園を訪れる日本の小鳥たち(鶯、ひたき、四十雀ややまがら)と共に奥方の心をさぞ楽しませた事が窺えます。